
特集内容に惹かれて、「広告批評」を買った。毎月のように買っていたのは、淀川長治の連載があった頃なので、ずいぶん久しぶりだ。表紙は蛍光オレンジと蛍光グリーンの2パターン。どちらも日の丸をイメージしたデザインで、特集は「日本国憲法第9条」だ。タイトルを見ただけで、拍手を送りたくなる。やるね、広告批評。お見事!
Q1 日本国憲法の第9条を改定することについて、賛否とその理由についてお聞かせください。
Q2 改憲問題のほかにも、温暖化問題や教育問題なども大きなテーマになっていますが、それらを含めて、この国のあり方や方向などについて、お考えがあればお聞かせください。
興味深かったのは、この2つの質問に対する68人の著名人による回答。Q1に対しては圧倒的に「NO」の声が多いのだけど、その理由の根っこはみんな同じところにある。私自身も、第9条の理想は素敵だと思う。で、「YES」と答えていた人も含め、それぞれが「なるほどぉ」と思える回答を用意していて、自分の勉強不足を改めて痛感するわけだけど、そんな中、印象に残ったのは森達也の回答だ。一部を抜粋すると、こんな風に答えている。
9条改定に賛成かと問われれば、言うまでもなく否だ。そのレベルじゃない。必要なんだ。子供たちのために。どうしてこんな簡単なことがわからないのだろう。
シンプルで分かりやすい。ホント、どうしてこんな簡単なことが分からないだろう、と思ってしまう。憲法9条については「理想」と「現実」という問題で議論されることが多いように感じるけど、そもそもその「現実」が、解釈のごまかしから生まれてきたもののようにも見えるので、改憲のハナシを聞くと、何だかダマされている気分がしてしまう。言葉と憲法についての関係は、この特集の中に載っている、池澤夏樹、大塚英志、高橋源一郎の3人による対談「言葉の問題としての憲法9条」を読むと、よ~くわかる。勉強しないと。
憲法9条についてのドキュメンタリー(3月にフジテレビで放送予定)を撮った是枝裕和のインタビューも載っていた。森達也と姜尚中による共著「戦争の世紀を超えて」の中で、戦争の被害意識と加害意識についてのハナシが載っていたけれど、是枝裕和も同じようなことを言っていたのが印象的だ。戦争の記憶について、被害意識は残るけど、加害意識は残らない、というハナシ。今回のドキュメンタリーでも大きなテーマになっているようなので、注目してみよう。
女子高生が書いた「ギャル文字9条」は、たった14行の短い文章なのに、読むのに時間がかかったなぁ。まるで暗号文。でもね、いわゆる知識人だけでなく、いろんな人がいろんなレベルで第9条について考えるのは、ものすごく大切なことだと思うんだなぁ。と考えると、そういうところからの声もちゃんとすくい上げている「広告批評」はエライと思うのだ。
ま、私自身、憲法については、あんまり掘り下げて考えたことがないので、これを機会に、ちょっと勉強をしてみようと考えている。
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