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2004.12.13

アンナとロッテ

anna
アンナとロッテ@スバル座(12月12日)

監督:ベン・ソムボハールト
出演:ユリア・コーブマンス/シーナ・リッヒャルト
(2002年/オランダ/137分)

分断するのは簡単。しかし一度分断したものを元に戻すのは難しい。ほんの小さなスレ違いと誤解から、憎しみすら生まれてくるのだから。それが、生身の人間っていうもの。いや、この映画にはラストでほのかな救いがある。が、壊れたものを修復するのがいかに困難であるか。そして、お互いがお互いを100%理解しあうということが、いかに幻想であるか。何も「未だに戦争だらけのこの世界が…」と大きなことを言いたいのではなくて、半径数100m程度の身近なものに照らし合わせてもそう感じることがある。スタート地点は、お互いがお互いに「違う」ということ。そして、誰もが完全ではないということ。唯一の希望があるとすれば、「ベルリン・フィルと子どもたち」に出てきたような大人が、同じ世界にいるということ。

「アンナとロッテ」は、双子のアンナとロッテが、幼い頃、両親が死んでしまっために別々の家に引き取られるところから始まる。アンナはドイツの貧しい農家へ、ロッテはオランダの裕福な家庭へ。時はナチスが台頭し始めようとする頃。アンナとロッテはお互いに手紙で連絡を取ろうとするけど、引き取り先の義理の両親によって、それはかなわないまま時が過ぎる。ロッテはユダヤ人と婚約。やがてアンナの居場所が分かり、数年ぶりの再会を果たすのだが、そこでロッテの婚約者の写真を見て、アンナがつぶやいたひと言がトラウマのように、2人の関係に残り続ける。

ユダヤ人かと思った

アンナは、やがてナチス親衛隊の将校と結婚。ユダヤ人の夫を持ったロッテは、オランダでホロコーストについてのハナシを知り、ドイツ人であることに罪悪感を感じ始める。そして、2度目の再会のある出来事を通じて、お互いの気持ちは決定的に分断される。ロッテはアンナに対して憎しみを抱き、アンナにはその理由が分からないまま。時はひたすら流れ、年老いたアンナはロッテに許してもらおうと3度目の再会を果たす。

「アンナとロッテ」は運命とスレ違いのハナシだ。気持ち的に最も結びつきが強いはずの双子が、決定的にスレ違う。断絶する。アンナの「ユダヤ人かと思った」の発言には全く悪意はなかったはずなのだけど、受け止る側のロッテにはそう聞こえなかった。そりゃそうだ。ただ、2人は全く異なる環境で育った。時代に翻弄されたと言ってしまえば簡単だけど、だからといって「どっちがいい」「どっちが悪い」と言えないところに、やりきれない気持ちになる。じゃあ、時代が悪かったですませられるかというと、2人もやっぱり時代の一部なのだ。そういうものをすべてひっくるめた運命とスレ違い。双子でさえも、和解への道のりは果てしなく遠い。

「良かったなぁ」と、ある部分で、ちょっとほっとするラストも、やっぱり「遅すぎた」としか言いようがないのだ。もっと早く何とかならなかったのかなぁ。でも、どうにもならなかったんだろうなぁ。

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