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2004.12.10

本の雑誌 1月号 etc. 

積読本、急増の季節。ハイ、困ってます。

先日、紹介した年間ブックガイド企画の注目本がひと通り揃ったんだけど、やっぱり「本の雑誌」がイチバンおもしろい。最新号も読みどころが満載。楽しいなぁ。幸せだなぁ。うれしいなぁ。


●本の雑誌 1月号

まずは冒頭の2004年度ベスト10。ジャンルミックスでいろいろな本が入っているところが「このミス」なんかとの違いなんだけど、やっぱり1位はコレだったのね。私にとってもコレ、今年のベスト小説かも。うれしかったのは、四方田犬彦の「ハイスクール1968」がランクインしているところ。この本、1970年前後の日本の空気に興味がある方は必読。坪内祐三の「一九七二」とセットで読むと、より面白い。というか、この人たちの青春時代に興味ある人、多いんじゃないかな。他、ベスト10の中で気になった未読本は(というか、前から気になっていたんだけど)、喜国雅彦の「本棚探偵の回想」。やっぱ買うべきなんだろう。とにかく、装丁が素晴らしいのだ。

著名人による「私のベスト3」も1月号のお楽しみ企画の1つ。坪内祐三が紹介している「闇からの光芒」は全くノーマークだったので反省だ。イランの映画監督、マフマルバフのインタビュー集で、副題は「マフマルバフ、半生を語る」。とにかく、即買いである。翻訳家の鴻巣友季子が紹介している絲山秋子の「海の仙人」も気になる1冊。「孤独という名の神話である」と紹介されているのだけど、それだけでしびれてしまう。

しかし、何といっても最新号の山場は後半の「ベスト10」3連発だろう。鏡明によるSF、池上冬樹によるミステリー、北上次郎によるエンターテインメントの「ベスト10」が、それぞれ4ページにわたって紹介されているわけだけど、その中で、ジャンルを超えて複数の人がベスト10にあげている本があったりするから、面白い。例えば、打海文三の「裸者と裸者」。これ、いろんなところで評価されているから絶対に面白いんだろうけど、ミステリーの池上冬樹とエンターテインメントの北上次郎が共に上位に上げている。同じように、有川浩の「空の中」はSFの鏡明とエンターテインメントの北上次郎が上位に上げているから、普段だったらノーマークの本なんだけど、気になってしまうのだ。それよりも、ティム・オブライエンの「世界のすべての7月」がミステリー部門の上位に入っているのがうれしい。ベトナム戦争時代に青春時代を送った人たちの群像劇なんだけど、今年読んだ数少ない翻訳小説の1つで、私にとっても思い入れたっぷりの1冊。訳は村上春樹。

う~ん、まだまだ書きたいことが山ほどあるのだけど、このヘンにしておこう。

池上冬樹のコラム「ヒーローたちの荒野」のハルキズ・チルドレンのハナシも面白いし、新元良一の「村上春樹翻訳大研究」なる記事もあるので、ハルキストにも読みどころ満載。


●このミステリーがすごい 2005年版

結果は、ふ~んって感じだけど、数年前とは上位に登場する顔ぶれがすっかり変わったなぁというのが第一印象。上位陣で読んだことがあるのは、恩田陸の「Q&A」だけ。改めて、ミステリー離れをしている自分を再確認した次第。上位陣で気になったのは、矢作俊彦の「ロング・グッドバイ」。前作「ららら科學の子」がメチャクチャ面白かったから、読んでみようっと。

にしても、最近の「このミス」って、結果云々よりも、人気作家による「私の隠し球」の方が気になってしまうんだよなぁ。篠田節子の隠し球が気になる。


●日本一怖い!ブック・オブ・ザ・イヤー2005

高橋源一郎と斎藤美奈子の書評対談が面白い。取り上げられていた、古井由吉の「野川」をさっそく買ってしまったほど。高橋源一郎が紹介している町田康の「パンク侍、斬られて候」は、私も大好きな1冊で、さっき、コレを今年のベストって書いたけれど、いやぁ、こっちも良かったなぁ。痛快な時代小説だ。

本を「選ぶ」「買う」という意味においては、「このミス」よりも「日本一怖い!~」の方が刺激が大きい。というのも、ジャンル横断型のブックガイドだから。普段は注目していないジャンルでの収穫本があったりするのがうれしいのだ。気になったのは、パオロ・マッツァリーノの「反社会学講座」とスティーブン・ピンカーの「人間の本性を考える」。こういう本も読まなければって思うんだよね。

ハイスクール1968
四方田犬彦著
一九七二
坪内祐三著
本棚探偵の回想
喜国雅彦著
闇からの光芒
ハミッド・ダバシ著・市山尚三訳
海の仙人
糸山秋子著
裸者と裸者 上 孤児部隊の世界永久戦争
打海文三著
裸者と裸者 下 邪悪な許しがたい異端の
打海文三著
世界のすべての七月
ティム・オブライエン著・村上春樹訳
このミステリーがすごい! 2005年版

Q&A
恩田陸著
ロング・グッドバイ
矢作俊彦著
ららら科学の子
矢作俊彦著
日本一怖い!ブック・オブ・ザ・イヤー 2005(別冊SIGHT)
SIGHT編集部編
野川
古井由吉著
パンク侍、斬られて候
町田康著
反社会学講座
パオロ・マッツァリーノ著
人間の本性を考える 上(NHKブックス 1010)
スティーブン・ピンカー著・山下篤子訳
人間の本性を考える 中(NHKブックス 1011)
スティーブン・ピンカー著・山下篤子訳
人間の本性を考える 下(NHKブックス 1012)
スティーブン・ピンカー著・山下篤子訳

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コメント

こんにちは
もう「本の雑誌」入荷してるのですか?うらやましい。当方北の果てなのでまだ入荷していないです。
『裸者と裸者』面白いですよ、一気読みしました。『空の中』気になるなぁ

投稿: ウケケ | 2004.12.10 05:07 午後

「裸者と裸者」、ものすごく評判がいいですよね。いろんな人が褒めているので、やっぱ読まなければいけないのかなぁ。…って思っています。たぶん、読むと思います。

投稿: yo-yo | 2004.12.10 08:22 午後

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