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2004.11.23

ハウルの動く城

CIMG0909.JPG
ハウルの動く城@OS三劇(11月20日/神戸)

監督:宮崎駿

まずは良かったところから。ダイヤルの色によって向こう側の世界が変わる「動く城」のドア。パラレルワールドの出入口で、今度はどんな世界なのだろうとワクワク。一度、動く城を壊してしまうのは、つながっている世界をリセットしたかったから?

外出する時にヒゲをはやして、子供の声で大人言葉をしゃべるマルクル。しゃべり方がとにかく良い。

港町を描いたシーン。ちゃんとカモメが飛んでいたので、キュンときた。市場の描き方があっさりしていたのは、ちょっと残念だけど。

「動く城」が軋む音もリアルで良かった。映画館が軋んでいるのかと思うくらいリアル。

ソフィーがおばあちゃん顔になったり、白髪のまま若い顔になったりするところ。「分かりにくい」という人がいたけど、そんなことはない。これ、いちいち説明されていたら、それこそつまらない。ようはソフィーの(女としての)気持ちの若さの問題。おばあちゃんでもなく、かといって若いのでもなく、そういうどっちでもない感覚。私は好きだな。

で、「ハウルの動く城」。普通に面白かったというのが正直な感想。ヘンに期待しすぎてもいけないし、おそらくは「もののけ姫」や「千と千尋の神隠し」などとは比べて見るとソン。結論からいうと、難しく考えずに、楽しんだもん勝ちの映画だ。難しく考えようとすると、薄っぺらく感じる部分があるんだけど、しかし、かといってつまらないことはぜんぜんなく、普通に面白いわけだ。で、良かったと思うわけだ。例えば、子供の頃、アニメを楽しむ時には難しいことを全く考えないで見ていたけれど、そんな感じで楽しむのが良い。

といいつつも、いろいろ考えてみるのも面白い。

*以下、ネタバレ含みます。

「ハウルの動く城」の薄っぺらさ(←決してマイナスな意味ではない)。具体的にいうと、例えば、一部の人物の描き方が他と比べて極端に薄っぺらかったりする。例えば、キングズベリーの王室付き魔法使いサリマンが、ラストで戦争を簡単にやめちゃったりする。そこで「おいおい、そんなに簡単にやめっちゃっていいの? 今までのハナシはいったい何だったの?」と突っ込みたくなるのだけど、そんな気持ちはグッと抑えて「戦争が終わってよかったね」と見るのが「ハウルの動く城」の正しい見方のような気がするのだ。戦争がどんな理由で行われているのかは、おそらく宮崎駿にとってはどうでもいいことだったんだと思う。だからこそ、サリマンをワザと薄っぺらく描いたんだろう。

薄っぺらさ。例えば、絵の密度。私はアニメをほとんど見ない人間なので的はずれかもしれないが(というか、私は全くアニメの分からない人間である)、時間をかけて丁寧に描き込んでいるなぁって感じる「動く城」に対して、「え!?」って言いたくなるくらいスカスカしたシーンがあったりする。なんだろう、このギャップは…。場面によっては、ひと昔前のアニメを見ているような感じもしたりする。「千と千尋の神隠し」がすごいなぁと思ったのは、密度に強弱はあるものの、「手をかけて時間をかけて丁寧に作りました」っていう感じが、全編から伝わってきたところ。だけど、「ハウルの動く城」には、それをあまり感じないのだ。けど、それもワザとじゃないかって思ったりするわけだ(あるいは時間がなかった!?)。

恋愛物語としてみた場合も、薄っぺらい。例えば、ソフィーが泣くシーンの分かりやす過ぎる泣き声。「ウェーン、ウェーン」って、いったいなんだろう? そう突っ込みたくなるけれど、これもワザとやっているような気がするし、ソフィーのキスで何もかもがハッピーになるラストも、ちゃんと感動する一方で、「なんだかなぁ」と思わずにはいられない。けど、これもワザとやっているような気がするんだな。

だからこそ、「もののけ姫」とか「ハウルの動く城」とかと比べてはいけないような気がするのだ。では、なんでワザとこういうことをしたのか? 妄想かもしれないけど、宮崎駿は、常に全力投球の大作を期待されるのがイヤなんじゃないだろうか。だから、メッセージ性などを含めて、省略できるものは省略して、いい意味で、手を抜けるところは手を抜いて、楽しめる映画を作った。それが「ハウルの動く城」だったのでは?

こんな風い書くと、つまらないように感じてしまう人もいるかもしれないけど、念のため。「ハウルの動く城」、十分に楽しめる面白い映画です。マジで。

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