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2004.10.26

GERRY(ジェリー)

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GERRY@ライズエックス(10月24日)

監督:ガス・ヴァン・サント
主演:マット・デイモン/ケイシー・アフレック

たまたま、ひたすら歩くだけの小説(恩田陸「夜のピクニック」)を読み終えた後に見た、ひたすら歩くだけの映画。しかし、その小説とは、ありとあらゆる意味において対照的。美しくも残酷な結末が待っている。

*以下、ネタバレあり

「GERRY」は砂漠に迷い込んだ2人の男の物語。何かをミスした時は相手のことを「ジェリー」と呼び、そういう行為のことを「ジェリる」といったりする。2人はドライブの途中、休憩のためにクルマを降りる。軽い散歩のつもり。前半はまるで青春映画のような爽やかさにあふれているが、2人はクルマを置いた場所に戻れないことに気付き、次第にドツボにはまっていく。そんな危機的状況から一刻も早く脱出するためにと、ひたすら歩くのだが、食料も水もない。1日、2日と過ぎ、疲弊は増すのみ。2人は致命的にジェリってしまったのだ。が、そんな状況とは対照的に、映し出される風景はただただ美しい。

「GERRY」はひたすら寡黙な映画である。セリフはほとんどない。2人が黙って歩いているシーンの連続。見ている方も一緒に歩いているかのような錯覚に捕らわれる。だから、映画の後半のこんなシーンで、2人の絶望が痛いほど分かる。

2人で座って遠くを見ていると、人影がこちらに向かって歩いてくる。誰もいないはずの砂漠地帯に人がいるということは、砂漠ではない場所が近くにあるということ。道路があるのか、はたまた誰かが住んでいるのか――。救世主? このシーンを見て、私は思わず安堵してしまった。2人は助かったんだぁ、と…。ところが、人影が近づいてくると、それは一緒に座っていたはずの相棒。「2人で座って遠くを見ていた」というのは幻覚だったのである。絶望の中に見えた希望の光が一瞬にして目の前で消え、2人の精神的な疲弊は臨界点を超える。

力なくゆっくりと歩き続ける2人の顔をカメラは捕らえ続ける。聞こえるのはただただ足音のみ。力尽きて倒れ、やがて3日目の朝を迎える。

主人公の2人は何も悪いことはしていないし、まさか砂漠で迷子になるなんて、これっぽっちも思っていなかったはずだ。けど、本当にジェリーな状況(シャレにならない状況)っていうのは、こういう風にして陥っていくものなのだろう。ジェリーな状況は、常に日常と隣り合わせなのだ。

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