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2004.10.27

2046

2046jpg.jpg
2046@渋東シネタワー3(10月23日)

監督:王家衛(ウォン・カーウァイ)
主演:トニー・レオン

「CODE46」の前売り券を買ったつもりが「2046」の前売り券だったという人を知っているけど、どちらも監督初のSF作品ということで共通。しかも、「46」つながり。

「2046」、王家衛ファンの中には「SF」という部分に躊躇している人がいるかもしれないが(私も心配していたが)、それほど心配する必要はない。なぜなら、「2046」は「欲望の翼」「花様年華」と同様、物語の舞台は1960年台の香港だから。あの王家衛ワールドは健在なのだ。で、これらの作品を全く別の作品として見ることも可能だとは思うのだが、やはりお互いが密接にリンクした3部作として捕らえた方が数倍楽しめる。だからこそ、「2046」を見るのなら、その前に「欲望の翼」や「花様年華」を見ておくべきだと思う(共に優れた作品なので、見てソンすることはないはず)。逆にいうと、この2作を見ていない人には、酷な部分も多いような気がするのだが、どうだろう?

「2046」は、トニー・レオンが演じるチャウ・モウワンを中心に、幾つかのエピソードが展開される。数あるエピソードの中でも大半の時間を費やされるのがチャン・ツィーとのエピソード。しかし、この女優が何だか好きになれなかった。他の女優陣、マギー・チャンとか、コン・リーとか、カリーナ・ラウとかは、みんな貫禄があって雰囲気があって良かったんだけど、そういう女優に囲まれると、チャン・ツィーは何だかちょっと頼りない感じがしてしまうというか。しかし、「恋する惑星」以来の王家衛映画出演となるフェイ・ウォンは、いいねぇ。「恋する惑星」のあの雰囲気の延長線上にある役柄なんだけど、そういう役にまさにピッタリ。

王家衛作品と特徴といえば、登場人物の心の中で思っていることが、セリフとしてしばしば登場するところ。広東語のように自分の知らない言葉だったら、それが自然に入ってくるんだけど、木村拓哉の日本語には違和感を感じてしまった。ちょっと浮いているような…。フェイ・ウォンの日本語がすごく自然に入ってきただけに、何だか目立ってしまったのだ。しかし、日本人が見る以上、これは仕方がないのかもしれない。

王家衛作品のもう1つの特徴といえば、同じセリフ、同じようなシーンが何度も何度も繰り返されるところ。それは、登場人物がみんな、過去にすれ違った何かを忘れられないからだ。で、なぜ忘れられないのかというと、早過ぎたり、遅過ぎたり、つまりタイミングが合わなかったから。「欲望の翼」も「花様年華」も、言ってしまえばすれ違いのハナシだし、「2046」もそう。「欲望の翼」のヨディ(レスリー・チャン)と「2046」のチャウは映画を超えて、すれ違ったといってもいいかもしれない。いずれの作品も、決して消すことのできない記憶をかかえ込んでしまう切ないハナシなのである。

時間は王家衛作品の重要な要素である。「欲望の翼」も「花様年華」も時計を映したシーンが多く登場する。 「欲望の翼」は、ヨディとスー・リーチェン(マギー・チャン)による「1分間の友達」から始まった物語。ここでも小道具として時計がうまく使われていた。「2046」は、チャウが何時間たっても何も変わらぬ時間のループに迷い込むことによって終わる。記憶を捨てきれずに…。そう考えると、実に切ない結末である。

「欲望の翼」のヨディと「2046」のチャウは似ている。だから、この映画はもしかしたらレスリー・チャンで撮りたかったのかな…と、ちょっと思ってしまったりもしたのだが、そう考えるとなお切ない。

*以下、ネタバレたくさん

「2046」の冒頭で、いきなり「花様年華」のラストを彷彿させるシーンが出てくる。「花様年華」のラストで、トニー・レオンが演じるチャウ(「2046」と同名の役)は、スー・リーチェン(マギー・チャン)との記憶を葬るために「ある儀式」を行う。アンコールワットが静かに映し出される印象的なラストシーンだ。で、それを明らかに意識したシーンが、いきなり出てくるのである。その儀式については、「花様年華」や「2046」の中でセリフとして繰り返される。

このように、「2046」は王家衛ファンには、うれしい仕掛けが満載なのだ。

例えば、「欲望の翼」のラストシーンでは、ストーリーとは全く関係なく、トニー・レオンが登場するのだが、「2046」の主人公はその彼であると捕らえることも可能だろう。「欲望の翼」のラストシーンと同様に、トニー・レオンが髪をとかすシーンが「2046」の中に何度も登場する。この2つの映画が密接な関係にあるのは、「欲望の翼」のメインテーマ曲が「2046」の中でも何度かかかったりする点からも明らか。「脚のない鳥」についてのエピソードもちらっと出てくるし、さらにはカリーナ・ラウが演じるダンサーが「欲望の翼」の時と同じ役名(ミミ/ルル)で出てきたりもする。で、そのミミ(ルル)の死んだ恋人というのは、「欲望の翼」で死んだヨディのことだ。「2046」のチャウは、まるでヨディの生まれ変わりかのような性格でもある。

先ほども書いたように、「花様年華」のトニー・レオンもチャウという役名。だから、「2046」は「花様年華」の続編と見ることも可能だ。しかも、職業も同じ(新聞記者で小説も書いている)。ただ、「花様年華」のチャウは、「2046」のチャウとは対照的な性格だ。しかし、そもそも「2046」という数字は、「花様年華」の中でチャウとスー・リーチェンが密会に使っていた部屋の番号。しかも、「2046」の中では、コン・リーがスー・リーチェンという役名で出てきたりもする。

という具合に、「2046」は、「欲望の翼」&「花様年華」とリンクしまくりの映画なのである。王家衛ファンなら、それだけで十分に楽しめると思うのだ。

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コメント

他の作品とリンクしてる部分が多かったのですね
2046だけ見たので
イマイチ楽しめませんでした・・・
ビデオ借りて出直してきますw

投稿: cuhasi | 2004.10.28 02:50 午前

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