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2004.09.25

父と暮せば

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父と暮せば@岩波ホール(9月20日)

監督:黒木和雄
主演:宮沢りえ/原田芳雄

●関連書籍

日本人なら、ヒロシマのことは考えるべきだと思うのだ。

舞台は1947年の広島。ピカ(原爆)で死んだ父(原田芳雄)が幽霊として現れ、ピカで生き残ったことに罪悪感を感じている娘(宮沢りえ)の心を開かせようとするハナシ。原作は井上ひさしの同名戯曲。いやぁ、いい映画だった。今、「華氏911」など話題の作品が幾つかあるけれど、日本人ならこの映画も見るべきだと思う。

1945年8月6日、B-29がヒロシマの上空に現れる。空襲警報はない。何かを落とす。父も娘も、それが爆弾とは思わない。このシーンを見て、私は「フォッグ・オブ・ウォー」のマクナマラを思い出したのである。B-29側から見た戦争か、それともB-29を見上げた側からの戦争か…。

原爆は、やはり悲惨である。同じ場所にいながら、ふとしたことで助かる娘と死んでしまう父。死んだ者にも、生き伸びた者にも、悲惨である。しかし、悲しいハナシではあるのだけど、父のコミカルなキャラが、時に笑いを誘ってくれるので、決して重々しい物語にはなっていない。

宮沢りえと原田芳雄がとにかくうまいのだ。ほとんどのシーンが、狭い部屋の中での娘と父とのやりとりで展開される。長回しも多い。ゆえに、実に演劇チックな作品である。父が死んでいる(=幽霊)と気付かさせてくれるシーンがなかなかないのだが、「うまいなぁ」と思ったのが、庭にお地蔵さんの頭がころがっているシーン。娘がお地蔵さんの頭を手に取ると、顔の半分がグシャグシャになっているのである。そして、お地蔵さんと父を重ね合わせ、父が死んでいるという事実を再確認するのだ。が、娘は父に対して罪悪感を感じている。自分が見捨てたから死んだのではないか…と。父は、そんな娘に対して「悲惨な時に悲惨な気持ちになるなよ。前向きに力強く生きろよ」というメッセージを送り続けるのである。

原爆は、やはり悲惨だと思うのだ。

にしても、久しぶりの岩波ホール。調べてみたら、旧ユーゴを描いた「パーフェクト・サークル」以来の6年ぶり。普段、足を運んでいる映画館と比べると、全体的に年齢層が高く、雰囲気も独特。いい映画館だと思う。

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コメント

「パーフェクト・サークル」ほんとに悲しい映画だ...。
連鎖を断ち切ること一生断ち切れないのか?

それとも、EUレベルの社会史システム構築が必要か?

投稿: metal_sheep | 2005.01.20 01:16 午前

コメント、ありがとうございます。

「パーフェクト・サークル」、ずいぶん前に見た映画ですけど、子役が印象的でしたね。

連鎖を断ち切るのは、ホント、難しいと思います。なんだかんだいって人間って、良くも悪くも感情的な生き物ですから。すべてがリセットされない限り無理なのかなぁ、って悲観的に考えてしまいます。EUレベルではなくて、全地球レベルで…。でも、すべてがリセットというのも、また怖いハナシで…。

投稿: yo-yo | 2005.01.20 11:03 午後

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 2004年も残すところ1週間。あとは1年をふりかえる内容を多くしていきたい。 [続きを読む]

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