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2004.09.28

CODE46

code46.JPG
CODE46@シネセゾン渋谷(9月20日)

監督:マイケル・ウィンターボトム
主演:サマンサ・モートン/ティム・ロビンス

「ひかりのまち(ワンダーランド)」「イン・ディス・ワールド」のマイケル・ウィンターボトム最新作。SFということで躊躇する部分はあったけど、何はともあれ好きな監督だ。

「CODE46」は恋愛(不倫)映画である。一方には都合が良くて、一方には救いのない結末。残酷だよなぁ、ウィンターボトムは…。らしいといえば、ウィンターボトムらしい。で、本当は恋愛映画を撮りたかったのではなく、「この世界は残酷なんだよ」と言いたかったのでは? 前作「イン・ディス・ワールド」の主人公は、ある意味、世界から忘れられた人(無視されている人)だったわけだし…。

近未来を想定した管理社会が舞台。安全が保障されている都市部(内側)と大半が砂漠である無法地帯(外側)が厳格に区別されている。都市間を移動するためには「パペル」という許可証が必要になるが、偽造パペルが流行っていて、それを調査する目的で上海に主人公のウィリアム(ティム・ロビンス)が派遣される。偽造パペルを作っているのは、ウィリアムが恋に落ちたマリア(サマンサ・モートン)。う~ん、分かりやすいハナシである。

SFということで、決まりごとが幾つかある。タイトルの「CODE46」もその1つ。日本語に訳すなら「法規46」。

同じ核遺伝子を持つ者は遺伝子学的に同一でありすべて血縁と見なす。体外受精・人工受精・クローン技術に際して同じ遺伝子間の生殖はいかなる場合も避けること。

クローン技術が発達しているゆえに、知らぬ間に遺伝的に近い人と性交渉を持つ危険性がある――。「CODE46」は、そういう時代の法律(決まりごと)の1つというわけだ。で、ハナシは予想通りに進む。非常に分かりやすい。

キライではない。が、SFアレルギー体質ぎみの私には、ちょっとキツく感じた決まりごとがあったのも事実。例えば、特定の記憶を消すことができてしまったり、相手の考えていることが分かってしまったり…。これがストーリー的に味付けになっているのは分かるのだが、付いていけなかった部分でもある。

内側と外側。そのギャップも、ウィンターボトムが見せたかったものの1つだろう。きっと「イン・ディス・ワールド」という傑作を撮った経験があるからだろう。外側の世界が描かれる後半部分が良いのだ。主人公の2人が中東に駆け落ちするあたりから、ハナシは熱を帯びてくる。というか、外側の世界を撮りたかったからこそ、前半をあのように撮ったのではないかと思えたりもする。

例えば、こんなシーンが良い。主人公の2人が船に乗って、廃れた港を見ている。ゴミ1つない無機質な内側の世界とは対照的な風景。そこにカモメの鳴き声がかぶさってくるのである。港にカモメの鳴き声。それだけで、私の胸はキュンとくる仕組みになっているらしく、思わず目頭が熱くなってしまった。カモメの鳴き声は、すなわち「地の果て感」。もう先がないという感じ…。2人の心境にもピッタリなのである。

正直、前半は「大丈夫か?」と思わずにもいられなかった映画だが、後半に救われた。映画のラスト。スクリーンが暗くなり、エンドロールが始まる前に、ぼそっとマリアがつぶやくひと言が切ない。


●おまけ
ハナシはぜんぜん変わるが、PJ Harveyの最新アルバム「Uh Huh Her」の中に、カモメの鳴き声から始まる曲(「Darker Days of Me & Him」)が入っている。カモメの鳴き声マニアの方はぜひ。カッコいいアルバムだ。

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» 「CODE46」を観た★★★☆ [kaoritalyたる所以]
いやぁ〜、切ないラブストーリーでした。音楽が私好みだったけど、映画に入り込めなかったのはなぜだろう・・。ストーリー&解説舞台は環境破壊の進んだ近未来。徹底的に管... [続きを読む]

受信: 2004.10.08 01:02 午前

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