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2004.09.25

チョムスキー9.11

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チョムスキー9.11@DVD(9月19日)

監督:ジャン・ユンカーマン

●関連書籍



アメリカの言語学者、ノーム・チョムスキーのインタビューと幾つかの講演をまとめた作品。9.11以降のアメリカの軍事行動における問題点が分かりやすく整理されているので、考えるきっかけとして、非常に良い映画だと思う。当初、気難しい人かと思っていたが、そんなことはなく、非常にとっつきやすかった。いいおジイちゃんなのだ。講演後、観客からサイン責めにあっても、拒まない。決して興奮せずに優しいことばで問題点を伝えてくれる。

講演会で、学生が(9.11以降の)対テロ戦争における南米の役割について質問するシーンがある。チョムスキーはこう答える。

「対テロ戦争」なる言葉は眉つばです。世界最悪のテロ国家が率いているのですから。国際司法裁判所でテロ国家と非難された唯一の国がアメリカです。国連の安保理も同じ意見でした。アメリカに「対テロ」を語る資格などない。この戦争をどう考えるかは自由ですが、対テロ戦争とは違う。

普段、当たり前のように使っていることばでも、その意味をしっかり理解していなければならないと思うのだ。そして、理解のためには、それなりの勉強が必要になる。新聞やテレビで報道されるニュースだけでは、決して見えてこない背景。それを知る努力を怠ってはいけないと痛感するのである。どんな出来事を前にしても、それに対して瞬時に判断をしなければならないことがある。そういう時に、やはり間違いたくないのだ。いや、間違いが許されない時に、間違いたくない。そのためには、より広い知識を得ようとする努力と、冷静に物事を客観視する能力が必要になると思う。祭りの現場にいると、まわりが見えなくなるものだ。例えば、9月11日に紹介した「911 IN PLANE SITE」なんかを見ていると、それが正しいか正しくないかはさておき、目の前にあるものをそのまま鵜呑みにするのが、いかにキケンなのかが分かる。「対テロ戦争」という言葉を、そのまま鵜呑みにしてはいけないのである。

「アメリカに報復する資格はない」というのが、この映画のメイン・メッセージだ。ものすごく乱暴にまとめるなら、アメリカはあまりにも都合が良すぎるということだろう。「偽善者とは、他人に適用する基準を自分に対しては適用しない人間のこと」と、アメリカのやり方をチョムスキーは批判する。

私がこの映画を初めて見たのは、劇場公開時だから約2年前だ。今、改めて見ると、例えば、こんな言葉が2年前よりも重みを増してのしかかってくる。

テロの最大の影響は既にあった動きを加速し強めたことです。(中略)日本でもどこでも同じ。日本では憲法改正に向かうかもしれません。

アメリカだけでなく、世界中の政府が9.11をチャンスとして利用すると、チョムスキーは予見しており、事実、そうなっているのだ。この映画の中で「テロをやめたないのなら、参加しないこと」とチョムスキーはいうのだが、日本は既に参加してしまっている。もう、後戻りはできない。

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